NOVELU
□knocking on the door (最終章)
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「へえ…」
シンが感嘆の声をあげると、キラは得意そうに笑みをこぼした。
「大したもんだろ?」
「俺、はっきり言って人形劇って馬鹿にしていたけどさ、なかなかいいもんだね」
「はっきり言ってくれるね」
2人が声を出して笑うと、周囲のスタッフに「しーっ」と、一斉に睨まれてしまった。
「いけねっ…」
シンはペロリと舌を出して、頭を掻く。
幼稚舎、初等部の子供達は皆、真剣な眼差しで劇に見入り、「ああ…」とか「だめだよ、ピノキオー」とか、思い思いに声をあげ、夢中で見ている。
「さあ、ピノキオ、この薬をお飲みなさい」
女神様が登場すると「わあぁ…」と、子供達が喜びの声をあげ、目を輝かせる。
ラクスは昨日のように頬を赤らめながら、懸命に演じているのだろう…キラは知らず、とても優しい笑顔を漏らしていた。
「へええ…」
シンが、意味深な笑顔を向けてきたのでキラは思わず身構えた。
「なんだよ?」
「いや、兄貴って、そういう顔で笑えたんだな、ってさ」
キラは首を傾げた。
「なんか、兄貴っていつもムリして周囲にあわせてたっていうか、俺に対しても変に気ィ使ってさ…でも、今の笑顔はなんかほんとに嬉しそうな顔だ」
「………」
―――実は、シンはとても鋭いヤツなのかもしれない、と今更ながらキラは舌を巻いた。
「なんか、不器用なところ、ラクス様に似てるよね、兄貴って」
うんうん、と頷くシンを見、キラは再び舞台に目を向けた。
―――似ている、か…そうかもね。