NOVELU
□桜守(1)
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「あんたは、あの桜と何か因縁があるみたいだな…そういう人間がいると噂には聞いていたけど、会ったのは初めてだ」
シンはキラを公園のベンチに座らせると、自らも隣に腰を下ろした。
「因縁…?」
「ああ。詳しく知らないけど……とにかく、あんたはあの桜に触らないほうがいいな」
『頼まれても触らないよ』と内心でぼやきながら、キラはコメカミ周囲を軽く指で揉んだ。
「だいぶ落ち着いたみたいだな」
「ああ…おかげさまでね、ありがとう…助かった」
キラはやっと、口元を緩めて薄く笑った。
「あんた…見かけないひとだね」
「僕は先週越してきたばかりだから」
ふーん、とシンは鼻を鳴らした。
「4月からはどこの学校に通うんだ?」
「ここの街にある自由高校だよ――新入生」
「俺は、その近くの中学に行ってる。中3なんだ、よろしくな」
シンは白い歯を覗かせ、人懐こい笑顔を見せて、キラに手を差し伸べてきた。
先ほど自分の身に起きた出来事が思い出され、キラは一瞬手をとる事を逡巡するが、シンの無邪気な様子に意を決してその手を掴んだ。