NOVELU
□桜守(3)
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キラは驚愕に瞳を大きく見開き、アスランは辛そうに目を伏せて、話題をずらそうと再び説明を開始した。
「で、”桜守”というのが…」
「ほらー!席付けおまえらー!」
担任のムウ・ラ・フラガが足早に教室に現れると、バシバシと出席簿で教卓を叩いた。
方々に散らばっていた生徒が、ゆっくりと割り振られた席に着き始めると、アスランも立ち上がった。
「続きはまた、今度な」
キラは言葉を失ったまま、アスランの方を向くと、軽く頷いた。
アスランは自分の席へ向かいながら密かに舌打ちをした。
「しまったな…あそこまで言うつもりはなかったんだが…」
しかも、最も大事な”桜守”の説明部分に入れなかった。
シンやラクスが思っている以上に動揺を示したキラをアスランは意外に思い、今一度彼の方を振り向く。
キラはまだ、色を失った表情で、アスランの残した図に見入っている。
これもキラが”彼”である所以なのかと、アスランは唇を噛んだ。