NOVELU
□桜守(最終章)
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ふいに、ラクスの手がキラの手をすり抜け、落ちた。
「―――ラクス!」
我に返ったキラは、紫の瞳を見開いて、桜の根元に倒れた彼女を抱き起こす。
彼女の鼓動は力を失い――次第に弱まっていく。
「キラ…」
ラクスは瞼を震わせながら残る力を振り絞り蒼い瞳を開けた。
「ラクス…、しっかりして…お願いだから――」
白い手がキラの頬に伸ばされ、そっと撫でた後――――ぱたりと、落ちた。
「せっかく、また、会えたのに…ごめんなさい……」
呼吸が、とまる
鼓動が、とまる
「ラクス――――!」
キラの目が驚愕に見開かれた。
「目を開けて!――――目を開けてよ!ラクス……」
キラは涙を隠そうともせず、ラクスを抱えたまま枯れ桜を見上げ、悲痛な叫びを上げる。
流れ出ていく命を、誰か、止めて――
「お願い…ラクスを――ラクスを助けて!――――できないなら…僕も連れて行って!頼むよ!」
そのとき
風が舞い上がった
目も開けていられないほどの、強い風に吹かれ、キラはラクスを必死に抱きながら飛ばされないように身を丸める。
”なんだ…これ――――!?”