企画部屋
□愛情(最終章)
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ホテルの内部もすっかりクリスマス仕様になっており、外に飾ってあるものほどの大きさは無いが、それでも十分に見事なツリーがエントランスの中央に飾られている。
このホテルはクラインの系列なので、キラは客の目になって様々な項目―――清潔度、接客等々をチェックするが、なかなか優秀なものだった。
国の中でもトップランクのホテルであるから、あたりまえかとキラは満足そうに頷く。
その間に、ツリーを見に行っていたはずのラクスがいつの間にか傍に戻ってきていた。
「どうしました?キラ―――真面目なお顔をして」
「え?」
「ここに、シワが寄っていましたわよ?」
”ここ”と、眉の間を指しながら、ラクスもシワを作ってキラの表情を真似た。
その様が大変に可愛らしく、キラは思わず声を上げて笑ってしまった。
いきなり笑い出したキラに呆気にとられていたラクスだったが、彼女もすぐに釣られて笑い出した。
「いきなりお笑いになるなんて、失礼ですわよ――キラ?」
「ああいうときのラクスの顔は、小さいときと一緒だな、と思ったんだよ」
そうしてひとしきり笑えば、さきほどまでの緊張や疲れはすっかり消え去っており、会話もだいぶくだけてきた。
誰が見ても今の2人は仲の良い恋人同士である。
「――じゃあ、行こうか……ラクス」
「はい、キラ」