PRESENT NOVEL

□A True Heart(3)
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4)


僕は家に戻るなり、隣の家に駆け込んだ


「アスラン!!」

「どうしたんだ?血相変えて…」

「教えて!」

のんびりとポッキーをくわえ出てきた彼の襟元をひっつかんだ。



「僕は何をしなかったの?――何を見落としているの?」


アスランの双眸が細くなった。

「――俺にも責任あるからな、ヒントを教えるよ」

「うん…」

「お前が一方的に閉ざした耳は、彼女の声をも遮断してしまって……ほんとうの気持ちを受け取れないでいるんだよ」



「ほんとうの、気持ち…?」



「ここから先は、自分で考えろ」

アスランは襟元から僕の手を外して奥に戻ってしまった。




僕が閉ざした耳…声…

脳裏に埃をかぶったPCが浮かんだ。

―――メールだ!



急いで部屋に戻り、数年ぶりにPCを立ち上げた。

最後に起動させたのがいつだったか、覚えてもいない。

グィーン…と静かに起動音がするのを確認し、ほっと胸をなでおろした。

懐かしい壁紙がうかび、僕はアイコンが並び揃うのももどかしくメールボックスを開いた。




「何…これ…」




次々にメールがボックスに収納され、受信日時、案件名、発信者が示される。

アスランからも最初の2、3ヶ月は週に一回ペースでメールが届いていたようだが、途中で途切れている。



毎日1通、必ず午後11時頃に届いているこのメールは…



「送信者 : LACUS CLYNE」



ラクスからの、メールだった。


彼女がパリに着いたであろう日から実に2年に渡り送り続けられていた。

さすがに3年目に入るころからは週に一回ペースに落ち、月に3回、2回と……段々少なくはなっているが、届いている。
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