PRESENT NOVEL
□To Beloved You
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彼女が再びフランスに旅立ってから1年………今日、ついに、日本へ、いや、僕のところへ戻ってくる。
春色の髪をした、蒼い瞳の愛しい君が……
『To Beloved You』
「キラ、今日お前大学どうする?」
食パンにバターを塗りながら、カガリが顔をあげた。
「行かないよ、もう成田に向かう」
淹れたてのコーヒーをカップに注ぎながら、僕はしれっと答えた。
窓を見ると、陽射しがたっぷりと射し込んでくる…僕は思わず微笑んだ。
今日はすこぶる天気がいい…ラクスが帰ってくるのにふさわしい日だ、と僕は内心ウキウキする気持ちを、精一杯表に出
さないよう試みた。
「って、お前…ラクスが到着するのって、午後3時ごろだろ?午前中くらいまじめに講義受けたらどうだ?」
「いいんだよ…どうせ、1限終わってすぐ出なきゃなんないんだから…めんどくさい」
『基本的にめんどくさがりだからなーお前は』と、カガリが、呆れた調子で言ってきたので、お返しにすぐさまジロリと
、軽く睨んだ。
「それより、カガリは出迎えに行かないの?」
ふと、思い出す。
カガリもラクスの帰国を心待ちにしていたし、毎日『今日のメールはなんて書いてあった?』と、僕に聞いてきていたく
らいに、ラクスのことを気にかけていたはずだ。
てっきり今日も、一緒に行く!と言い出すと思ったのだが…。
「ばーか、気を回してるんだよ…馬に蹴られたくないもんなー」
舌をベッと出して、しかめ面をつくる。
「ああ、ありがと」
あっさりと受け入れる僕の足をカガリが軽く蹴ってきた。