青の祓魔師


□第1話
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雨の日、澪那は1つの墓の前で傘も差さずに立っていた




「獅郎がお亡くなりになりまシた」


『うそ…』



『…っ』

思わず溢れそうになる感情を無理やり押し留める

兄様は何もかもが急だ
(獅郎…?)

出してしまえばとまらない気がして…

兄様みたいな人なら獅郎の死んだ原因を知っている筈なのに…
(起きてよ…朝だよ…)

それでも目に溜まる水はとまることを知らず

…それすらもウチには教えてくれなかった
(また会いに来てあげたよ…)

少し目を細め、優しく、壊れ物を扱うように墓を触る

『獅郎』
(そんなとこで寝てると風邪引くよ)

それでもあいつの温もりは無くて

つい何日か前に会ったばかりなのに…
(なんで?)

墓の冷たさが手に来るだけ

『…っ獅郎』
(…っなんで!?)

もし、自分があの後ずっと留まっていたら

あんなに暖かかったはずなのに…
(なんで冷たいのっ…!?)

どうしようも無いことが頭を巡り

『獅郎!』
(起きてよっ!!!獅郎!!)

何も考えられなくなるたびに思い浮かぶあいつの笑顔

(澪那…)

手をキツくキツく握りしめ、その隙間から血が滴り落ちる

(ゆ…きお)

二度と会えないと実感してしまった自分は…

(もう…父さんは死んだんだよ)

墓の前に正座するように崩れ落ち

『獅郎っ!!』

両目から滝のように涙を流し

私は返事がないと分かっていながら

あいつの…獅郎の名を叫ぶように呼び続けた






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