BSR(short)

□あぁ、愛しの…
1ページ/2ページ





某ドラッグストアにて…


真田幸村は部活で入り用な医療品を買いにきていた。



「湿布にサポーター……後は……」



ふと、食品が並ぶ棚に目をやると、そこには美味しそうな和菓子の数々。


幸村は目を輝かせた。


豆大福に黒糖饅頭、草餅にみたらし団子。


どれにしようかと品定めを始める。


みんな美味しそうで、なかなか選べない。


もういっそ、全種類買ってしまおうか。


そんな考えが浮上しかけてきた頃、棚の奥の方に隠れていた和菓子を発見した。


どれどれ、とそれを手に取る。


「っ!?」



驚いた。

手に取った食品はなんと、ずんだ大福。


それだけなら、たいして気にならなかっただろう。


が、しかし、それには伊達政宗の文字が。


幸村はずんだ大福をカゴに放り込むと、レジへと急いだ。





帰宅後。

幸村はずんだ大福と対峙していた。


じっとずんだ大福を見つめていると、懐かしいような、なんとも言えない気持ちが込み上げてくる。


しかし、ずっとそうしている訳にもいかない。


ずんだ大福をそっと手に取り、幸村は丁寧に包装を剥がしていく。


勿論、伊達政宗を破らないように慎重に。


ゆっくりと時間をかけて包装を解くと、現れた薄緑色の大福をうっとりと見つめる。



「美味そうで御座る」



こくり、と小さく喉を鳴らし、幸村はゆっくりとそれを口に含む。


ふわりと広がる甘味に自然と頬が緩んだ。



「うまいで御座る!」



決して甘すぎないずんだ餡は控えめに入っていたクリームと見事に調和していた。


幸せすぎる一時。


最後の一口を食べ終えた後も、ずんだ大福の味を思い出しては頬を緩める幸村。



「何だか、政宗殿に会いたくなってきたで御座るなぁ……」



言葉にすれば、ますます会いたくなってしまった。


眉を寄せて、幸村は溜め息をつく。



「ずんだ殿……」


「おいぃ!そこは“政宗殿”と頬を濡らしながら呟く場面だろうがっ!!」


「む。ずん、だ……宗殿?何故ここに?」


「ずんだ宗って誰だ、アホ村ぁぁぁ!!」




 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ