BSR(short)

続きは後でね
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「久しぶりだな、真田幸村」


馬から下り、一歩一歩と己の好敵手へ近付いていく。


「この時を待ち侘びていた……独眼竜、伊達政宗」


朱塗りの槍を政宗に向け、幸村は叫ぶ。


「いざ、尋常に勝負!」


上等だと笑みながら、また一歩ずつゆっくりと歩を進める。

幸村もまたゆっくりと政宗へと向かって歩を進めた。


「最高の気合いを入れて、俺を楽しませてくれよ?」


そう言って、走り出すと同時に六爪を抜き放った。




ガキィィン




互いの刃が激しくぶつかり、火花が散る。

ふと込み上げた言葉では語れない感情に、視線を絡ませ二人は笑む。

最高の高揚に胸が高鳴る。

やはり己の好敵手は最高だ。

二人は互いに自分の好敵手を称賛した。

いったん間合いを取り、またすぐに刃をぶつけ合う。

あまりの勢いに砂埃が舞い、当たりを白く染めた。

目にも留まらぬ早さで打ち出される攻撃。

絶えず金属音が響いた。


「ここは……やはり退かれよ。独眼竜」


僅かに掠れた声で幸村は言う。


「貴殿との決着は某の望み」


ならば何の問題があるというのかと思えば、上杉を打ち倒した後に正々堂々と戦いたいと。

幸村らしいと思ったが、そんな甘い考えは通用しない。



「顔を合わせた時が殺り合う時だ。もっと派手にいこうぜ」


くっ、と幸村は顔を顰める。


「相も変わらぬ物言い……致し方ござらんっ!」


槍を持つ手に力を込め、六爪を弾く。

よろりと後退しかけたが何とか踏み止まり、幸村の槍を手前に引いた。

すると、幸村はバランスを崩して転びそうになる。

よろよろとつんのめるようにして前進し、慌てて背後に立つ政宗を振り返るが、政宗は早くも次の一手を繰り出していた。

反応が遅れ、何とか受け止めたにもかかわらず、吹き飛ばされてしまう。


「うぐっ……」

「もう終わりか?」

「なんの……これし、きっ」


体勢を整えようと足を踏ん張るが、それは叶わなかった。



 
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