dragon tiger

悲しい現実
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体内時計が朝を告げる。

いつもはとても気持ち良く目覚められるのに、今日はやけに体が重くて起き上がれない。

いやしかし、早く起きなければ弁当と朝練が。


いざ、と体に力を入れると、もそりと何かが動いた。

パチリと目を開き、何かが動いた方向を見る。



「ひぎ……ぴぎゃぁぁ!!?」



何か……それは、美しという
言葉がよく似合う隻眼の美青年だった。



「…………う、ん……もう少し寝かせろ」



ガッシリと体を押さえ込まれ、幸村はあわあわともがく。



「ま、政宗殿!なぜ貴殿がここにいるのでござるか!」


「仕方ねぇだろ。部屋に戻ると小十郎がうるせぇんだ」



小十郎とは政宗の右腕……ならぬ右目的存在の側近だ。

政宗の足りないところは彼が
補っていると言っていい。


部屋に戻れない=鬼の形相の小十郎と仕事が待っているといったところか。



「ご責務から逃げるのは勝手でござるが、某はこれから学校なので起床しまする!」



早くどいてくだされ、と政宗を引きはがしにかかるも、幸村よりも政宗の方が力が強いために徒労に終わった。



「政宗殿ぉ〜、朝練に遅刻してしまいます!」


「遅刻くらい、いいだろ」


「まったくよくありませぬ!……それに弁当も作る時間がなくなるでござる」



まだまだ育ち盛りな幸村。
お昼ご飯抜きはきつい。


この気持ち、同じ男子ならわかってくれるはず。

じいっと政宗を見つめる。




「……しるか」



しかし、政宗は鬼だった。





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