幼なじみと×××
□幼なじみと温暖化
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「ぜっ、はっ……はぁ、はぁ……」
何度も、何度も荒い呼吸を繰り返す。
突然、息を荒げた幸村に政宗はギョッとする。
「おい、幸、いきなりどうしたんだ?」
「いっ……き、を……止めて、おり、まし……」
息の整わないまま、幸村は苦しげに喋る。
なぜ息を止めていたのかが謎なのだが、とりあえず幸村の息が整うまで待つ。
「で?なんで息なんて止めてたんだ?」
呼吸が落ち着いた頃を見計らい、政宗が聞く。
まさか部屋が臭かった……なんて理由ではないはずだが。
「今日の授業で、地球温暖化のことを勉強したのでござる」
「……う、ん?」
温暖化の勉強をした=息を止める?
まさかとは思うが、二酸化炭素を出さないように息を止めていたのか。
「なぁ、幸」
「なんでござる?」
「幸一人の呼吸くらいなら、ぜんぜん温暖化に影響ないぜ?」
「え?なぜ?」
不思議そうに瞳を瞬かせて、幸村が首を傾げる。
「いや、だって、人の呼吸だけじゃそんなに二酸化炭素出ないだろ。全国の人間が息しなくなったらわからねーけど」
「なら、政宗も息をしなくなれば……!」
「死ねってこと!?」
「はぇ?」
そんなことは言っていないと幸村は主張するが、息を止める=死ぬという意味なのをわかっているのか……いや、わかってはいないな。
「とりあえず、息をしないのは無理だ。止めていた分だけ余計に酸素を取り込むだろ?」
現に先程の幸村は普通に息をしている時よりも多く酸素を求めていた。
「それじゃ意味ないからな」
「では、どうすれば…」
泣きそうな顔でそう問われて、政宗はうーんと考える。
しばらくして、あっ!と名案が浮かんだ。
「じゃ、庭に緑を増やすか!」
「え?緑?」
「あぁ。緑が増えれば酸素が増えるぞ!」
なんか授業でそんなこと聞いた気がする。
「ほら、行こうぜ」
「うむ!」
スコップやバケツ、余っていた種を手に、二人は庭へと出る。
種を植えながら、幸村はとても嬉しそうだった。