幼なじみと×××
□幼なじみと誕生日
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HAPPY BIRTHDAY!
お誕生日おめでとう!なんて…
そんなの、言われたことがない。
幼なじみと誕生日
自分がなぜ生まれてきたのか、わからなかった。
右目をなくし、母からは疎まれ、周りからは嫌悪の目を向けられる。
可哀相だね、と同情するやつもいた。
そんな目でみるな。
同情なんて、そんなものいらない。
本当にほしいのは、そんなんじゃないのに。
夕焼けに染まる公園のブランコに腰掛け、政宗は俯いていた。
先程までこの場所には仲の良い家族がいて、楽しそうに笑っていたのだ。
ケーキの話をしていたから、今日は誕生日なのだろう。
誕生日、誕生日か…。
政宗は生まれてこの方、誕生日を祝ってもらった記憶などない。
自分は望まれて生まれた存在ではないから。
足元にあった小石を蹴って、ため息を一つ。
いつの間にか、公園には一人だけになっていた。
それでも、帰る気にはなれない。
どうせ帰ったところで居場所などないのだし。
コンビニで今晩のご飯を買って、母親が仕事に出るのを待とう。
うん、と一人頷いて、政宗はブランコから飛び降りた。