幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士A
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「ちょっと…、何これ。どういう状況?俺様、状況が把握できないんだけど」
目の前の光景に佐助は言葉をなくした。
破れた襖、抉られた畳、折れた柱、天井に開いた穴。
それだけでも驚愕なのだが、佐助の頭をパニックに陥れているものは別にある。
自分の目線の遥か下の方。
見知った戦装束に半ば埋もれるように座っている子供。
「……弁丸……さま?」
一昔前の主の幼少期に似た子供が佐助を見上げる。
くりっとした大きな目と視線が絡まった。
「……さすけ、なにをほうけているのだ?」
カクリと首を傾げる姿はとてつもなく可愛らしい。
可愛らしいが……
「……え、ちょっとマジで?なにこれ夢なの?旦那が弁丸様になったぁぁ!!」
「うるさい」
そう窘めたのは才蔵だ。
その声は不機嫌で、沸き上がる殺気を隠せていない。
「仕方ないだろ。つっーかなんで旦那がこんなことになってんのさ?」
今更な問いに才蔵がわずかに顔を歪めた。
「それは……」
「それは?」