幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士B
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「……ちっ」
女は佐助を見るなり盛大に綺麗な顔を歪めた。
知り合いだっけ?
いや、初対面のはずだ。
こんな女は知らない。
艶やかな黒髪、きめ細かそうな白い肌。
唇は薄いピンク色で、意志の強そうな瞳が綺麗だ。
ものすごく上玉な女。
少し残念なのは顔の右半分が隠れていること。
怪我でもしたのか、ぐるぐると巻かれた包帯が痛々しい。
ふと、佐助は思った。
そういえば、憎き独眼竜も右半分が隠れていたなと。
そう思うと、目の前の女が伊達政宗に関係したものに見えてくる。
「独眼竜……」
無意識に呟けば、女が懐から短刀を取り出した。
そして、どす黒い殺気と共に切り掛かってくる。
「うっわ、危なっ!いきなり何すんの!!」
「うるせぇ、死ね。それが嫌ならくたばれ」
「それどっちも死ねって意味なんですけど!?」
なんてメチャクチャな女だ。
とりあえず、暗殺者というわけではなさそうだが。