幸村様と十勇士

□幸村君と十勇士
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初めて目にした時の驚きは今でも鮮明に思い出せる。


くりくりとした大きな目。


ふわふわと柔らかそうな茶色の髪を後ろだけ長くし、赤い紐で束ねている。


笑顔はまるで花が咲くかのように可憐で。


一目惚れだった。


こんなにも可愛い子がいるなんて。



「まずはお友達から始めてくれませんか!?」



あまりの感動に、思わずそう口走っていた。














気になるあの子は剣道部に所属している一年生。


性格は明るくて、誰にでも好かれるタイプ。


恋愛は超がつくほど苦手で、初なうえに鈍感。


これが、ここ数日あの子を観察して得た情報だ。



「おい、佐助。顔がとんでもないことになっている」



前の席の才蔵が振り返ってそう言った。


どうやら顔がにやけていたらしく、気持ち悪いと悪態をついてくる。



「仕方ないでしょ。旦那のことを考えるとこう、胸がギュウッとなるの!」


「キモイ死ね」


「酷いっ!才蔵だって一目見たら絶対に惚れるって!」



惚れたら惚れたで、それは困りますが。


内心でそう思いつつ、佐助はふと窓から校庭を見下ろした。





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