幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士D
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まだ歩けるようになって間もない童がちょこちょこと懸命に歩いてくる。
抱っこ抱っことねだる童を抱き上げ、名前を呼んだ。
「弁丸さま」
「……夢か」
懐かしいな、と欠伸を一つ。
長く屋敷を離れていて、久々に戻ってきたからだろうか。
昔の夢を見るなんて。
「ふぁ〜あ。にしても可愛らしかったなぁ……」
先程の夢を思い出し、頬が緩んだ。
今も昔も主は見目麗しい。
「……さぁ〜てと、仕事にいきますかぁ」
よっこらせと立ち上がり、三好清海入道は身支度を始める。
と言っても忍具を補充する程度なのだが。
「う〜む。今度はどこに行くんだったか……」
最近もの忘れが激しいのは年のせいだろうか。
まだまだ若いんだけどな、と苦笑する。
「さてと、行きますか」
ささっと支度をすませ、清海は障子に手を伸ばす。
しかし、手が触れる前に障子がカラリと開いた。