幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士F
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パタパタと城内を歩く足音がだんだんと近付いてくる。
その足取りは軽く、わずかに弾んでいて楽しそうだ。
きっと、なにか良いことがあったのだろう。
「さすけ!せいかい!」
子供特有の高い声で、忍の名前を叫ぶ。
声の主はもちろん弁丸様。
現在、仕えている真田のお家の次男坊だ。
「はい」
「どうかなさいましたか?」
呼ばれてからわずか一秒たらずの時間で、二人の忍は弁丸の前に姿を現した。
「うむ!きいておどろけ。なんと、弁丸がおやかたさまからめいをいただいたのだ!」
エヘンと胸を反らして誇らしげに弁丸は言う。
その姿を微笑ましく二人の忍は見つめ、ふと主の言動を思い返した。
「お館様からの命?弁丸様、なんですかそれ」
まぁ、きっとお茶を貰ってこいとかそんなのだろうけど。
内心そう思いつつ、佐助は弁丸に尋ねた。