幼なじみと×××
□幼なじみと誕生日
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「まーくん!」
途端、大きな声が、公園に響き渡る。
くるり、と声のした方へ視線を向けると、想像した通りの人物がにこにこしながら立っていた。
「ゆき」
名前を呼べば、嬉しそうに駆け寄ってくる。
その姿はまるで、主人に呼ばれた犬のよう。
「何か用?もう日没だから危ないよ」
キョロキョロと辺りを見回してみるが、母親の姿はない。
ここまで一人で来たようだ。
「うん、今日はね、誕生日なの!」
「え?誰の?」
ゆきの誕生日は二ヶ月先だったよな、と考える。
なら、お兄さんの?
いや、でもわざわざ知らせに来ないか。
政宗がぐるぐると考えていると、幸村がもぅ!と頬を膨らませた。
「まーくんは自分の生まれた日も忘れたのでござるか?」
そう言われてみれば、今日は誕生日だった。
誕生日を祝ってもらった記憶なんてないし、忘れてしまうのも無理はないだろう。
「……で?それがどうかしたのか?」
なんだかムカムカして、声が思ったよりも冷たくなってしまった。
しかし、幸村は気にした様子もなく。
「まーくんを迎えに来たのでござる!」
にこにこと笑って、ぎゅうっと手を握る。
「迎えって?」
「まだ秘密でござる!」
ペろりと可愛らしく舌を出して、握っていた手を引く。