幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士F
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「おかしをかいにいく」
「え?弁丸様の?」
「ちがう!」
バカ者!と頬を膨らます。
その姿がまた可愛い。
「弁丸はおやかたさまのおきゃくじんのおかしをたのまれたのだっ!!」
何だか少し言い方がおかしかったような気がするが。
ようするに大将の下にお客様が来ていて、その客の茶請けを買ってきてくれと。
「なら、俺と一緒に……」
「だめだ!」
「えぇ!?なんで!?」
「だって、おやかたさまは弁丸につかいをたのまれたのだぞ!ひとりでいかなければ」
「だめ!だめだめだめー!」
それは危ない。
主のあまりの可愛さに誘拐なんてものを目論む蛆虫共がいるやもしれないのに。
あまりの形相で否定の言葉を連呼する佐助に、弁丸は少し涙目だ。
「これ、猿飛。弁丸様が怖がっておられる」
清海が弁丸の頭を撫でながら、佐助を諫める。