幸村様と十勇士
□幸村様と十勇士H
2ページ/2ページ
「どうした?」
騒がしさに気が付いて、弁丸の兄である信幸がやって来た。
その姿を認めると、弁丸は信幸へ縋り付く。
「弁丸、どうした?」
「佐助たちが教えてくれないでござる」
信幸が何を?と聞き返せば、弁丸は先程と同じく子供はどうやってできるのかと尋ねた。
「そうか。なら、兄が教えてあげよう」
さすがに困るだろうなと思っていたので、佐助と清海は驚いた。
まさかありのままを説明するつもりなのか。
「の、信幸様……」
佐助が遠慮がちに名前を呼べば、任せろと言わんばかりに頷いた。
「弁丸、赤ん坊は互いを想い合った者達が祈願すると、キャベツ畑に宿るんだよ」
「キャベツ畑にやって来るでござるか?」
コクリと信幸が頷けば、弁丸は瞳を輝かせ、さすがは兄上でござる!と飛び跳ねた。
気になっていたことを知れて嬉しいのだろう。
しかし、なぜコウノトリは駄目でキャベツ畑は信じるのか。
「弁丸は信幸の話はなんでも正しいと思う節があるからなぁ」
その答えは後日、昌幸の証言により知る。