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□3.指先だけでそっと、
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3.指先だけでそっと、
普段は素直になれないけれど、僕だって本当は君に甘えたい。
「かおるー」
「…………」
「かーおーるー」
「……………」
「ねぇ!!馨ってば!」
「…何?僕今、本読んでるんだけど」
素っ気なく言ってみたりするけれど本当は光にちょっかいだされるのが嬉しくてたまらない。
でもそんなことは絶対知られたくないから冷たくする。(ツンデレだって?はぁ!?僕はそんなんじゃないっ)
「もういいよ僕、寝る」
光が拗ねたように言う。
「光…」
ベッドへは入るとわざとこっちに背を向けた。
僕も本を置きベッドへ移動する。
「光…ごめんね」
しばらくたっても返事がないので本気で怒ってるのかなと思い体を揺さぶってみる。
「光?ひかる……」
すうすうと、寝息をたてて寝ていた。(…寝るの早過ぎ)
余程ショックだったのかうっすらと涙の跡がある。
「ごめん、ね。光…」
そういって光にそっと触れた。
(指先だけでそっと、)
(明日はもっと素直になるから)