頂き物

□守るべきもの
1ページ/1ページ


「また…あの夢か。」
そうぼそりと呟きながら目覚めた少年、シュウ。彼はゴッドエデンのシードチーム「エンシャントダーク」のキャプテンだ。
「思い出したくないのに…何で思い出すんだろう。」
シュウは閉鎖になったゴッドエデンでたった1人、エンシャントダークの練習場所の森で呟いていた。
ほかのエンシャントダークのメンバーは、天馬達雷門サッカー部やアンリミテッドシャイニング、ゴッドエデンに閉じこめられていた少年達と一緒にゴッドエデンを出て行った。
たった1人でもシュウはゴッドエデンに残る事を決め、まだここにいる。
「僕のせいだから、同じ夢という名の苦い記憶を見るのかな。」
前に天馬が来た時天馬に話した昔話、あれはシュウの記憶だった。
「…八百長なんて頼むんじゃなかった。」
シュウは今でも後悔している。
「妹を守る為なら、八百長だってしてもいい、その覚悟でやったのに、逆に妹を殺してしまったようなものだよ。」
昔、妹が生け贄にされた時の事をついこの前の事のように呟くシュウ。
シュウがそう呟いていると、雷門サッカー部と試合をした時、天馬が助けた子ヤギがシュウのもとへやってきた。
「君は、あの時天馬が助けた…」
シュウはまだいたのかと思いながらも優しく子ヤギの頭を撫でる。
「…天馬はすごいよね、守りたいものを守れるんだから。雷門中と試合をして、自分の弱さを知る事が強くなれる事だって知ったけど、それだけじゃ守れないものもある。」
シュウは、今は雷門中でホーリーロードを優勝し革命を起こそうとしている天馬の事を思いながら子ヤギに草をやった。
「僕はまだ、あの記憶から抜けられないでいる。抜けられないんじゃない、抜けたくないからまだあの時の記憶の夢を見るんだ。」
子ヤギは草を食べると、離れていった。
「天馬…君の、いや雷門中のホーリーロード優勝を願っているよ。これが、僕なりのお礼だ。ありがとう、天馬。」
シュウはそう言うと、黒いオーラを纏い、そして消えた。


「…?今の…もしかして…」
場所は雷門中、いつも通り練習を続ける天馬は、見覚えがある友人の、「頑張れ」という声が聞こえた気がした。
「うん、頑張るよ、シュウ…」
天馬は笑顔でそう呟いた。
また、一緒にサッカーが出来ると信じて。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ