トワイライト

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ぽちゃっんと水音の音が聞こえ、うっすらと目を開いた。辺りを見渡すと洞窟だった。
身体を起こそうと上半身だけ、上げると身体から悲鳴が響く。痛む身体を堪えながら外に出るとそこには雷門の奴らが熟睡していた。

(何でこいつらがここにいるんだ?)

そう言えば、俺は何でこんなところにいるんだ?記憶を遡り、一生懸命に思い出そうとした。


「…そうか。俺はあの事を思い出して」


あの不思議な少年、フェイと交流があった事。そして、俺がエルドラドから逃げ出した事。すべてではないが確かに覚えている。もう一度、雷門の所へ視点を向けるがその中にはフェイはいなかった。
俺の足は自然と歩き始めた。



「…フェイ」

「時雨さん!?起きても大丈夫なの?」

「ああ、身体まだ痛むけど歩ける」


隣いいか?と聞くとフェイは頷いた。そこには子供の恐竜がいた。目を見開いたが大人しく俺を見つめている。
そいつの頭を撫でた後、隣に座った。


「…俺、思い出したんだ。記憶は途切れ、途切れだがお前の事、ようやく分かった」

「っ!」


ぽつりと溢した言葉にフェイは息を殺した。何となく気持ちを察した俺は話を続けた。


「悪かった。勝手に行ってしまって。お前を巻き込ませたくなかった。仕方ないと思ったんだ」

「………」

「だがエルドラドに捕まった瞬間、ふっとお前の事を思い出したんだ」


優しくフェイの頭を撫でると伏し目になった。身体が小刻みに震えていた。


「お前と過ごした日は短い期間だったが俺にとってお前は特別な存在になっていたんだ。フェイ、本当に悪かった」

「時雨さん!」


突然、フェイに抱き着かれ傷が痛んだが我慢しながらフェイの頭から背中に変えて撫で続けた。


「僕、小さい頃に親に置いていかれた事があったんだ。嫌われたと思って怖かった」

「…フェイ」

「時雨さんと出逢って僕は幸せだったから。だから、また会えて嬉しかった」


ギュッと抱き締める強さが増している。俺はフェイの寂しさを紛らわす為にもう一度、撫でた。




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