青春謳歌
□あの日の約束
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※燐視点
流血表現注意!
瑞希が家を出てからしばらくして雪男が帰ってきた。
「おーおかえり、雪男」
「あれ、兄さん。瑞希はどうしたの?」
「アイツならキャプテンん家で夕飯食べるからついでに泊まるってよ。お前も飯いるか?」
「そだね、久しぶりに食べようかな」
俺は夕飯に作ったすき焼きを持ってテーブルに置いた。二人で飯を食うのは久しぶりだった。いつもは瑞希と二人か三人で食べていたが昔、寮で過ごした日が懐かしくなる。
「瑞希、元気だった?」
「おう、元気だったぜ!」
すると雪男はきょとんとした表情で俺を見てくる。気にしないようにしたがやっぱ、気になる!
「…何だよ」
「いや、寂しくないのかなって思って。だって兄さん、いつも電話で心配だってぼやいていたじゃないか」
「そ、そりゃあそうだったけどよ!瑞希の顔見て、大丈夫な気がしたから良いんだよ」
「何、それ」
呆れる雪男に俺は無視して、すき焼きの肉を卵に付けて食べた。あーやっぱ、すき焼きは美味い!
「…あのさ兄さん。1つだけ聞いていい?」
「何だよ?」
「どうして瑞希を引き取ったの?」
あーまたかと俺は肉を頬張りながら雪男の話を聞いた。
「別に嫌じゃないよ。ただ、いくらなんでも突然過ぎだったからさ」
んなモン、分かってる。
引き取ったばかりの頃は責めに責めて俺から訳を聞こうとしてたからな。だがいくら、弟の雪男でも喋るわけにはいかねぇんだ。
「ほら、肉全部喰うぞ」
「ちょっと、話そらさないでよ!てか、肉ばっかり食べないで野菜も食べなよ」
「うるせー!お前は俺のおかーさんかよ!!」
雪男には悪いがあの日、俺と…アイツと約束したんだ。
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