素敵ないただきもの

□日常
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「すまない小十郎。今日の予定が全て先送りになった。
急だが今日はゆっくりと休んでくれ」


昼食を摂り、スーツに袖を通してさて、出掛けようかと言う時に突然鳴った電話。
受ければ社長である輝宗からのもので、小十郎は畏まりました、と頷いた。


小十郎は以前、輝宗の会社で社長秘書として働いていた。
今は輝宗の新しく始めたアパレル関係の会社の専属モデルとして働く政宗のマネージャーではあるが、時たまこうして輝宗の要請で共に交渉に出向く事もあった。

取り敢えず不要となったスーツを着替え、ソファに座ってどうしたものかと眉を寄せる。
午前のうちにやるべき事はみんな済ませてしまった。
他に何かやることはあっただろうかと考える。
洗車は……無理だ。外は雨だ。
改めて隅々まで掃除を……とも思ったが普段から細々とした所もきちんとやっている為、やるべき所も思いつかない。


「どうしよう……」


突然できた休みに、途方に暮れた。

暫らく考えた後、漸く何をするか決めたらしく、小十郎は鍵を片手に部屋を出た。


部屋を出て、隣の部屋の前に立つ。
手に持った鍵を差し込んで開いた。
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