四季のへぼ小説 壱
□砂糖菓子
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ちらちら舞い散る雪のように
ただその心は美しく
愛しい貴方の隣に居られる
嗚呼其れだけで幸せです
『砂糖菓子』
それは、雪のちらつく甲斐にて。
「謙信様、茶菓子をどうぞ……」
「いえ、かすが。あなたからおたべなさい」
「そんなお気遣いをなさらなくても……。かすがは謙信様が喜んで居てさえくれれば…其れだけで…」
「よいのですよ。わたくしも、あなたのえがおがみられればそれでいいのですから……」
屋敷の縁側から少し部屋に入った辺りで繰り広げられる薔薇色……否、タカ●ヅカな雰囲気。
その中心で見てるだけで吐気をもよおしそうな程甘ったるい会話をエンドレスに交わす二人――勿論軍神上杉謙信とその寵愛を受けるくの一、かすが。
「………なぁ、さっきから繰り広げられるSweet過ぎる雰囲気…、何とかならねぇのかよ」
「アレはもう末期だから……。ヘタに関わるとかすがに消されるよ、竜の旦那」
「佐助ぇ、某も茶菓子が食いたい」
そしてその光景に圧倒されつつもチンマリと座って雪を眺める真田主従+奥州筆頭。
「まったくさ……大将も軽々しくあの二人呼ばないで欲しいよなぁ…」
「Me too……せっかくの俺とHoneyの二人っきりの時間が無くなるじゃねぇかよ」
「オイ待て。真田の旦那はいつからお前のになったんだ」
「…生まれた時から?」
ふざけるなァァァ!!!!と叫ぶ佐助をしりめに、幸村はキュゥ、と情けない音を出す腹を押さえていた。
「……ぅう……」
「とらのこよ、なにをしているのですか?」
「ふぇ!!?う、上杉殿ッ!」
部屋の中でかすがとイチャイチャしていたとばかり思っていた謙信に声をかけられ、幸村は目を点にしたまま固まっている。
「貴様、謙信様にお声をかけられておきながら何だ、その妙な驚きは!」
「ぁ……、その、」
「…これ、あまりいじめてやるでないわ」
かすがのあまりの剣幕に圧倒されながらも幸村が軽く頭を下げると、その猫っ毛を大きな手が後ろから撫でた。