四季のへぼ小説 壱
□月読
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「……………(悩)」
ある晴れた日の事でした。
『月読』
「………(どうやら困っているようだ)」
此処は甲斐の城下町、それも女性が使うような化粧品の類が置いてある店である。
……のだが、何故かその店先で悩んでいるのは赤い髪の男。
「………(首を傾げている)」
変装をしてはいるものの、その男は紛れもなく只今北条に雇われ中の風魔小太郎その人であった。
彼は先程から様々な種類の髪用油を見ているのだが、なかなか決まらずに困っている。
―…何故、彼が髪用油などを選んでいるのかと言うと、話は少し前に遡る事になるのだ。
そう。
それはつい一週間前の事。
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