四季のへぼ小説 壱

□餌付け…?
1ページ/3ページ


ある晴れた日に、
可愛い仔虎に会いに行きました。

勿論、オヤツは持参で。



『餌付け…?』



「ゆーきちゃん♪団子、美味い?」
「某は幸ちゃんではないと何度言えば分かってもらえますか、慶次殿。……まあ…団子美味いですけど…」
「そっか、幸ちゃんが美味しいって言ってくれたからそれで持ってきたかいはあったな!」
「ですから幸ちゃんではありません!」

相変わらずつれない素振りの幸村と二人、俺がいるのは上田城の日当たりのよいある部屋。
嬉しそうに団子を頬張る幸村は可愛らしいことこの上ないのだが、何故か俺が話しかけるたびに眉間に皺を寄せてしまう。

「幸ちゃん、眉間に皺寄せるとブサイクになるからやめなよ。…魔王のおっさんみたいになるよ?」
「皺を寄せる原因が誰か分かってますか?…まったく…」
「何!?幸ちゃん誰かにいじめられて嫌になってるのか!!?なら俺がこらしめ「貴方が黙って下されば其れで某は満足ですからお黙り下さい」


…………意外と厳しいと言う事に改めて気付かされた俺の隣で、幸村はやはり黙々と団子を食べている。
幸村が団子を心の底から大好きだという事は分かっていたのだけれど……

(なんか…寂しいなぁ…)

構ってもらえない、と言うのも案外切ないものではある。

かと言って悪戯をすれば怒られ、
戯れに口付けでもすればいつもの"破廉恥!"の一点張りの挙げ句、しばらくの無視。

どうにもこうにも堅い防御な幸村には歯が立たない、そして手の出しようがない。
人生の中、やっぱり恋は難しいもんだな、と俺が一人苦笑いを浮かべていた…そんな時。


.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ