四季のへぼ小説 壱

□拍手連載猫政幸
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それは、そう。
陽射しが気持ちの良い、春の日でした。





act.1【日向の匂い】





「いい気持ちでござるぅー…」

武田さん家の縁側でのんびり背伸びをしてから丸まった虎猫の幸村[まだ産まれてから八ヶ月]。
今日も陽当たりの良いこの縁側でうとうと居眠りをしようとしていました。

「それにしても…"にちようび"なのに、何故お館様はお出かけになられたのだ?」

いつもは遊んでくれるのに、と小さく呟きながら幸村は空を飛んでいく蝶々に目を向けていました。
そんな時、隣の大きなお家から人の声がしてきたのが幸村の耳に聞こえます。

「………お隣は誰も居ないお家ではなかったか?」

前に飼い主である、"お館様"……もとい武田信玄さんが言っていた事を思い出し、幸村は首を傾げましたが眠くなったので目を閉じました。





その頃、隣の大きなお家では、慌ただしく引越しの作業が行われているところでした。





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