四季のへぼ小説 壱

□夜の匂い/ダテサナ
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「――…っ!!」

勢いよく体を起こして、頭に手をあてる。
なんてものを見せてくれたのだと、夢に軽い恨みを覚えながら眉を寄せた。
…無駄な事だが。
「勘弁してくれ……まだ夜明けですらねぇじゃねぇかよ…」
「ん……ぅ…?」
まだ真っ暗な外を見て悪態をついていると、隣から可愛らしい声が聞こえてきた。
「…幸村、大丈夫だ。まだ寝てろ……」
「んにゅ………ましゃむね……どのぉ…」
ぽんぽん、と肩を叩いてやると軽く身じろぎをしたもののすぐに安らかな寝息をたて始め、眠りについた事が分かる。

(まったく……相変わらずcuteなヤツだな…)
其処に惚れたのだが、あえてそれは彼には絶対に言わない。
断じて恥ずかしい訳じゃないのだけど。
…ただ、面と向かって言いにくいだけで……
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