四季のへぼ小説 壱

□馬鹿っぷると冬蜜柑/チカナリ
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「痛ぇ!!!!」
「当たり前だ馬鹿者!!!」
二人でのんびりと火鉢にあたっていた筈なのに、あぁいつの間にかいつものペース。
バシバシと俺の頭に手加減無く打ち付けられる采配。
痛い、痛いから……さすがの俺でもかなりキツイからやめて。
「抱きついたくらい、良いだろ…」
「貴様ごときが簡単に触れて良い身体では無い」
「夜は良いのにか?」
すいませんすいません、失言でしたか女王様。
だから采配で叩くのはやめてください。
…………非常に痛いんで…。
「元就…」
「…ふん」
あぁ、拗ねちまった。
まったく世話のかかる人だとぼやくが、それを承知でコイツと付き合ってるのだから文句は言えない。
「もとなりーぃ」
俺の女王様はつん、とそっぽを向いたまま反応しない。
「なりちゃーん」
指で頬をつついても、ぷい。
可愛いけど面倒くさい。
世に言うツンデレとは大変なものだと今更ながら実感する。
あさっての方向を向く元就の耳元に唇を寄せる。
―――気付かないとは珍しい……
こっちにすれば好都合、この機会を逃してなるものか。
そう、出来るだけ低く、かすれた声色で名を呼べば良い。
楽しい楽しい、俺の本当に些細な仕返しを始めてみよう
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