四季のへぼ小説 壱

□馬鹿っぷると冬蜜柑/チカナリ
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さっきのはあやつが悪い。
いきなり、それも勝手に抱きついてくるから驚いて叩いてしまっただけだ。
だから我は悪くない。
……………多分、……きっと、…………おそらくは………
後ろから元親の呼ぶ声がする。
怒っては、いない。
……………でも[なりちゃん]は止めろと前に言ったのにまた言った。
あの馬鹿チカめ…今度[姫若子]って呼んでやろうではないか。

………不意に、声が止まった。
遂に怒ってしまったのかと不安になる。
あぁまただ…、と思うと目頭が熱くなってきた。
怒らないで、怒らないで、と目をつむっていると、不意に耳元で声がした。

「……………元就………」
「―――――!!!」
かすれた、低い男の声。
慌てて振り向くと奴は笑っていた。
反則だ、あんな手は反則だ!
苦し紛れにその逞しい胸板を叩く。
「元就、顔赤いぞ」
「…うるさい…///」
お前の声につい昨日の夜を思い出してしまったなんて、間違っても言ってやらぬからな!
「かぁわいいなぁーvV元就V」
「恥ずかしい事を申すな!!馬鹿チカ!……………ッ!!!」
言ってから後悔した。
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