四季のへぼ小説 壱

□とある日の/オヤユキ
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「………大将、いつまでそうやって座ってるんですか?」

大将の部屋で、旦那の手当てを済ませた俺は息を吐いた。

「……むぅ……」

反省しているのか、寝ている旦那の横にあぐらをかいて僅かにうつ向いている。

(借りてきた猫……?)

虎のクセに、とつぶやきつつ旦那の頭を撫でていると大将が溜め息をついた。

「……………儂はこやつの主として失格かのぅ……」

「……はぁ?」

大人しくなった虎が突然言い出した言葉に目を点にして俺は固まる。

「このように怪我をさせてしもうては………」

(珍しい…あの大将が落ち込んでる…)

はぁぁ……とまた大きく溜め息をついた大将に少し呆れながら、薬箱を持って立ち上がると、大将が顔を上げた。

「佐助、何処へ行く」

「何処って……用もない俺をこんな陰気臭い部屋に閉じ込める気ですか?」

キッパリと言い切られて眉を寄せてまたうつ向いた大将を部屋に残し、俺は早々に逃げた。


面倒な事からは逃げるに限るよな。
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