翠の桜
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今日も彼はやってくる
「御機嫌よう、姫」
「いらっしゃいませ業平殿」
簡単に挨拶を返して自分の前を手で示す
「少しお話があるのです
座っていただけますか?」
彼は私の様子に首をかしげながらもそこに座った
「どうしたんですか?」
「聞きたいことがあるんです」
「聞きたいこと?」
「えぇ」
「こんなに改まって聞くほど重要なことですか?」
「はい、私にとってはとても」
「そうですか・・・
何です?」
結婚してから何度も聞いた、甘い優しい声音で尋ねられてとくんと胸が音を立て、続いてきゅっと痛くなる
それを落ち着けるように大きく一つ息を吸い込み、口を開いた
「何で私と結婚しようと思ったんですか?」
いきなり核心に触れると彼は驚いたように目を見開いた