翠の桜

□4.5
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彼女から逃げるように自分の屋敷に戻った私は自室で脇息にもたれ、項垂れていた


私はさっき何をした?
顔が赤いことを指摘されて逃げ帰るなんて・・・

いくら鈍い彼女でも私の思いに気が付いただろう

その事実にじわじわと恥ずかしさが込みあげてくる


い、いや、落ち着こう
考えようによっては良いことなはずだ

彼女が私の気持ちに気が付いたということはこれから私の行動にいちいち首をかしげることはなくなるだろう
そうすれば彼女と本当の夫婦になれるのも遠くないはず

そう考えると悪くはない


だが・・・


「恥ずかしいものは恥ずかしい・・・」


次に彼女に会うとき、どんな顔をすればいいのだろうか
悩みだすと彼女に会うのが憂鬱にもなってくる

だが、これほど悩んでいても私は性懲りもなく今宵も彼女を訪ねていくのだろう

彼女に会わずに一日を終えるなんて私にはできないのだから・・・

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