憂鬱少女ときれいな谷
□6話
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目を開くと
空には一番星がポツリと浮かんでいた。
私を包む風が強くなって、通り過ぎる。
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「クラリッサでも解けない強い呪いがかかってるんだって。」
コップを握る手に赤い火が揺れる。
スナフキンは少し目を細めてつぶやいた。
「・・・それを知っていれば、あの時…。」
「え?」
「いや、バイオレッタは君に心を開くだろう。」
言葉を切ったスナフキンに代わって、ムーミンが嬉しそうに耳を揺らした。
「うん、そうなってくれたらいいな。またみんなで遊ぼうよ。
スナフキンも、今度は来てくれるでしょう?」
「・・・ああ。」
見上げた空には、春の一番星が瞬いていた。
「冬までには、まだたくさん時間があるわけだからね。」
それを聞くと、ムーミンはうんうんと楽しそうにうなづいた。
その胸には明日からの、もしかしたら明日のことを考えるための、この夜からの希望が渦巻いているのかもしれない。
「明日はバイオレッタも誘っておさびし山の探検でもしようよ。
わぁ!見て、空の端だけあんなに明るい。
僕、夕焼けの色ってとっても好きだな。」
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