憂鬱少女ときれいな谷

□6話
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「いきなり泣き出すものだから驚いたよ。」

嬉々として話すムーミンの顔をたき火が赤く照らす。

「よっぽど嬉しかったんだな。」

同じく火に照らされたスナフキンが鍋の中をかき混ぜてコップに注いだ。

「本当?スナフキンもそう思う?」

「花をもらって悲しむ人は珍しいと思うよ。」

スナフキンは、微笑みながら静かに熱いココアに口をつける。

「バイオレッタはちっとも笑わないや、スナフキンの半分くらい。」

「世の中には、あまり笑わない人もいるさ。小さいころよく笑った人も、大人になって笑わなくなったりする。」

「…僕も笑わなくなるのかな。」

スナフキンはココアから口を離して、耳を垂らす友人を見た。

「君はそんなことにはならないと思うけどな。

微笑む口にココアを流す。

「バイオレッタは、何かどうしようもない悩みがあるのかもしれない。考えてもわからない何かがね。」

「…やっぱり、呪いのことを悩んでるのかな。」

「呪い?」

ムーミンのこぼした言葉に、スナフキンは思わず手を止めた。

「うん・・・バイオレッタから聞いてない?」

いや、と静かに首を振った。

「バイオレッタは、僕らよりずっと早く死んでしまうんだ。」




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