たばこの煙

□タイニー・ユー
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それは本当に偶然の出会いだった。

「ぬふ〜今日も楽勝〜♪」

俺はその日、それなりにデカい仕事をこなして、途中立ち寄ったカジノで大当たりした帰りだった。

「一発勝ちでそのままクールに帰る俺ってば、かっくい〜!」

右手でコインを玩びながら、夜の明かりの中を意気揚々と歩く。

この場所は夜になると活気は収まるが、店の中ではにぎやかに歌う声があちこちから聞こえてくる。

「ちょっくら遊んでいきますか。」

そう呟いた時、

「ん〜?」

なにやら思いつめて石段に座り込む少女が見えた

「こんなところで一人でいるなんて、いい趣味じゃないぜ?」

近寄って話しかけると、振り向いた少女の幼さに驚いた。

「君は…。」

「あの…なにか。」

明らかに背伸びをした赤い唇が戸惑ったようにうごく。

「…子供が歩く時間じゃないんじゃな〜いの?」

少女はかすかに笑う。

「私、24です。」

「うそーん!」

大声で叫ぶと少女はクスッと笑った。

「よく言われます。」

ポリポリと頭をかいて謝る。

「いや、大人の女の区別がつかなかったのは俺のせいだよ。」

それから隣に腰掛け笑いかける。

「俺、ルパン三世〜。きみは?可愛子ちゃん。」
少女はふふっと笑って答える。

「アリサです。」

はにかんで笑う表情は純朴で、新鮮に見えた。

「答えたくなかったらいいんだけっどもね?なんでまたこんなとこにいるわけ?」

瞳を覗き込みながら聞くと、アリサはちょっと眉を上げたが、話し始めた。

「彼とね、うまくいかないの。もっといい女と付き合いたいんだって。」

言いながらはめていた指輪をはずす。

「いい指輪だ。どうでもいい女に贈る代物じゃないぜ。」

「前の彼女のお古よ。」

「そりゃまた。」

大げさに呆れてみせるとアリサもまた笑った。






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