text
□最期の
1ページ/1ページ
声を上げて、名前を呼んで
一度だけでも。それが最後でも。
「…クットロラン」
手に乗せた破片が、当然ながら返事をするはずもなく。
結局温もりを得ないまま、あれは遠くへ行ってしまった。
『ジーカウェン様』
声が、脳内で反響する。
手を伸ばしても届きはしない。名前を呼んでも応えはしない。
だが、それでも、
「クットロラン…」
頭の中で繰り返されるレコードに、意味の無い呼び掛けを続けるのは、
(悪あがきだと知っている)
[
戻る
]
[
TOPへ
]
[
しおり
]
カスタマイズ
©フォレストページ