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□最期まで貴方といたいから Side:J
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奴の中に感じる、黒くて、とてもおぞましいもの。
サムネルシアでは、より屈強な兵士を“造る”為に、身体の中へ直接ブラックエネルギーを注入すると誰かに聞いたことがある。
それは心臓に至るまで根を張り、きっと、その者が死ぬまで離れることはないのだろう。
ブラックエネルギーを注入された者が、並みの人間として死ねるかどうかなんて分からない。理解したくもない、というのが本音だが。
それでも、奴は俺の心配ばかりする。偶には自分の事も心配しろ、と言えば、ただ大丈夫だと言って笑う。
何が大丈夫だ。そうして自分を犠牲にするから、あの愚かな国王に操られたりするんだろう。
あの時、俺は剣を向けられただろうか。
例えお前が相手だとしても、俺は戦えただろうか。
だが、今だからここで誓おう。
お前は、俺が殺してやる。あの国王に殺されるくらいならば、俺がお前の命を絶つ。
必ずだ。だから、……だから、
「ジーカウェン!」
そこまで考えていた思考が、一瞬にして断ち切られた。
抱き締められている、と気付いたのは数秒後。頬が濡れているのに気付いたのは、それからまたしばらく経ってからだった。
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