頂きもの

□絶対言わないんだからね!
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並々ならぬ決意を固めて雲雀は綱吉を呼び出した。

すぐに応接室にやってきた綱吉に胸が高鳴る。
渇きそうになる唇をなんとか動かした。

「…沢田」
「は、はい!」
「僕と付き合いなよ」
「…わかりました」
あまりにあっさりとした承諾に拍子抜けする。
「いいの?」
思わず聞き返してしまった。

「良いですよ。どこに行きます?見回りなら放課後に…」
「っ…?!」
別の意味に捉えたらしい綱吉にトンファーを取り出す。
途端にびくっと身体を震わせた。
怖がらせたかった訳ではないと苛立ちを押さえつけてトンファーをしまう。
ほっとした様子にズキッと心が痛んだ。
「…もういい。呼び出してわるかったね」
くるりと背を向ける。
不良でも咬み殺すかと意識を逸らすも動かない気配が気になって仕方がなかった。

「何してるの。さっさと教室に…」
「雲雀さん。俺、雲雀さんが好きです」
忠告しようとした言葉を遮って綱吉は言った。
脳が理解する前に腕を引かれる。
油断していたからか意図も簡単に綱吉に抱き締められた。
途端に意識が鮮明になる。

「な、にして…!」
「好きって言ったんですよ。今のままじゃいつまで経っても言ってくれなさそうだから」
むぅっと唇を尖らせる。
呆然と雲雀は綱吉を見詰めた。

「え…ちょ…」
「付き合って…だなんて遠回しですよ。好きかどうかを聞くのが最初じゃないですか?」
「…さわだ…?」
「あ。沢田じゃなくて綱吉って呼んでくださいよ?恭弥さん」
耳元で囁かれた名前に身体が熱くなる。
おずおずと背中に腕を回した。

「…君は前から知ってたの?その…僕の気持ち」
「超直感なめないでください」
「…ああそう」

なんだか脱力して綱吉にもたれかかる。
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