小説その2

□『夫婦』じゃないもんっ!
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※このお話は当たり前のように男同士(大人リボーン×25雲雀)が結婚しているというラブコメです※


俺は世界を股にかける超一流のヒットマン、名はリボーンという。
依頼を受ければ100%完璧に仕事をやる遂げる凄腕、ニヒルでダンディで女にも男にもモテモテ。
それが少し前までの俺のプロフィールだったりする。
ここ最近、一部だけがちょっと変更になったけどな。

追加項目――只今新婚なりたてほやほや、らぶらぶいちゃいちゃ真っ盛りだったりする。


「ただいまー。」
がらがらと引き戸を引いて、俺は我が家に足を踏み入れた。
「おかえり。」
う〜ん、いいね。こういうの。ただいまっていったらおかえりって返って来て。
そんでもって「ご飯にする? お風呂にする? それとも……僕?」なんて新婚お決まりの台詞なんかがオプションで付いていたら更に言うこと無いんだが。
「ご飯は後5分くらいで出来るよ。それまでにさっさと着替えてきて。」
俺の可愛い新妻は淡々とそう言うと、ふいっと台所に引っ込んでしまった。

「ヒバリー。おかえりのキスは?」
着替えの前に台所に顔を突っ込んで催促すると、雲雀はさも嫌そうな顔でこちらを睨んできた。
「お・か・え・り・のキスは?」
ゆっくり繰り返すと、憎憎しげな視線をこちらに投げつけてから、深いため息をついてそろそろと近づいてきた。
…まるで野生動物が警戒しながらもしぶしぶ言うことを聞いているような雰囲気だ。

雲雀は俺の頬に唇を押し付けるとぱっと離した。まるで触れたら火傷するかのような勢いだ。
そして「…おかえり。」と低い声で吐き捨てるように言って踵を返した。

着替えるために自分の部屋に移動して、俺は深いため息をついた。
新婚なりたてほやほや? らぶらぶいちゃいちゃ真っ盛り? …どこが?

俺の結婚は、順風満帆、楽しさ満点―――どころか、キスすら結婚式以来まともに交わしたことも無いという、完全な政略結婚だった。





ボンゴレがここ日本に支部を出そう、という時になって待ったを掛けてきたのが、ここら一体を牛耳っている風紀財団という組織だった。
基本『余所者は受け入れない』体制だった風紀財団と紆余曲折の交渉の結果、『縁を結ぶ』ことで妥協することとなった。
要するにお互いの組織に縁の深いもの同士を結婚させて親戚にしてしまおう、ということだ。
「ただし――僕に勝てたらね。」
うっすらと氷の微笑を浮かべながらそう宣言した風紀財団の長は、まさか自分が負けるはずなど無いという自信に満ち溢れていたと風の噂で聞いた。

俺は自分には全く関係無いだろうと、全くの傍観者を決め込む予定だった。
そもそも俺は確かにボンゴレお抱えのヒットマンだし、門外顧問なんぞも引き受けたりしてはいるが、基本的には組織に属さないで自由に振舞っていたのだ。
だから自分にお鉢が回ってくるなど、考えたことも無かったわけだ。

しかし人生というものは波乱万丈にできているものらしい。
何の因果か俺と雲雀は結婚することになり――現在に至っている。
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