小説その2

□僕の雲雀ちゃん
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『決闘を前提としたどつきあい』と『結婚を前提としたおつきあい』の違い の続き。

※かなり激甘仕様の上にパラレルファンタジー・おっさん白蘭さま×ぽやっとした青年雲雀
未来の白蘭さまならこんなコトは絶対なさそうだけど、現代のぬぽぽーとしている白蘭さまが好きなのでこんな風になりました!
ェロ部分は当サイトの中ではかなりやらしー部類に入りますので、苦手な方はご注意ください※


◇◇◇



初めて見たときの衝撃は忘れられない。

反則だよね、こんなに綺麗なひとが世の中にいるなんてさ。
別に外見だけなら、もっと豪華な美女とか見ほれるような美男子とか色々いるけれどさ。
そこはかとなく気品漂う雰囲気とか、小首を傾げる様なちょっとした仕草だとか、無垢な黒曜石みたいな澄んだ瞳だとか―――そういうもの全てをひっくるめて、雲雀ちゃんは今まで見ただれよりも、綺麗なひとだと思った。

神社の境内で、淡い紫色の翼を閃かせながら奉納の舞を踊るその姿を見た瞬間、どうしても手元に置きたくて仕方がなくなってしまった。
なんといっても滅多にお目にかかれない同族、貴重すぎる有翼族だし、毎日たくさん愛でて可愛がって大事にしよう。
それこそ真綿でくるむみたいに甘やかして、うんと大切に大切に飾って置こう。
そして僕のために舞を踊ってもらうんだ。

そうと決まれば話は早い。
神社の裏手で丁度いい具合に僕の目の前をふらふらと横切っていく雲雀ちゃんを見つけた瞬間、僕は電光石火の早業で彼を攫って自分の城に持ち帰ってしまった。





雲雀ちゃんはものすごく不機嫌な顔をしながらも、出された食事をぱくぱく食べて何度もお替りをしていた。
普通攫われてきた先で、そんなに無防備に出された食べ物を口になんかするかなぁ。
その警戒心の無さと呆れるほどの無邪気さに、ちょっと笑ってしまった。

多分今まで、騙されたり陥れられたりしたことが無いのだろう。
天敵の居ない動物には、警戒心というものが芽生えない。きっとそれと同じことなんだろう。
どうやら腕っ節にはかなりの自信があるようだし、体調が悪くて満足に動けない状態でなければ、僕にだって絶対負けなかったと思っているみたいだ。

基本的に欲望に忠実みたいで、気を惹くような話を振ってやればすぐに食いついてくる。
退屈そうにムスっとしている雲雀ちゃんにお風呂の話しをしたら、大当たりだったみたいだ。
「ライオンの像からお湯が吹き出ている」とか「秘湯からお湯を直接汲み上げている」といえば、途端に興味を惹かれたらしくきらきらした瞳で僕を見上げてきた。
まるで好奇心いっぱいの子供みたいだ。

お風呂には入りたいらしいが、しかし自力ではベッドから出ることも出来ずにむくれている雲雀ちゃんを、ひょいと抱き上げる。
彼はかなり驚いたようでぱたぱた足をばたつかせていたが、僕が「暴れない、暴れない」って嗜めたら途端におとなしくなった。

どうやら彼ら東洋の妖魔には色々と妙なしきたりだの掟だのがあるらしい。
今も、僕にコテンパンに負けたから、僕の言うことには基本逆らえない――らしい。うん、可愛らしすぎて笑っちゃうよね。
そんなの、破ったってどうってこと無い気がするんだけどなぁ。僕ら西洋の妖魔にはそんな面倒くさいモノ、無いしね。
自由気ままに楽しんで、自由気ままに戯れて。飽きたらはい、それでおしまい。

そんな付き合いがごく普通だったから、『ほっぺにちゅーしたら婚約』だとか言って大騒ぎする神経が良くわからない。(コレは雲雀ちゃんは認めていない。赤ん坊の妖魔が騒いでいるだけだ)
僕だって本気で『結婚を前提としたお付き合い』なんてする気はまるで無かったけれど、赤ん坊の反応が面白すぎてついつい連呼してしまった。

雲雀ちゃんは大事に飾り立ててお人形のように愛でるんだから、だれにも渡さないつもりなのは本当だしね。

お風呂から上がったら、雲雀ちゃんにはやっぱり今と同じように和服を着せて、いい匂いの香を焚きしめよう。
きっと髪からはいい匂いがして肌なんかつるつるになって、飾って奉って大事にして愛でるのにうってつけになるんだろうなぁ。
…もちろん、今もすごくいい匂いがするし、肌だってつやつやしてるけどね。


調子に乗って色々適当なことを話かけたら、雲雀ちゃんは拗ねたような顔をしてツンとそっぽを向いていたけれど、それがまた可愛くてしょうがない。
あぁ、最初の印象はとても綺麗なひと、だったけれど、なんだか今は可愛くて可愛くて食べちゃいたいくらいだなー。(勿論性的な意味で。)
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