小説

□何でもない恭弥くんの一日
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AM 06:45

勝手口から奈々に挨拶。
焼きたてのクロワッサンを差し入れる。
サラダの用意をしていたので、ベーコンエッグを焼く係りを引き受けた。

「恭くん、いつもありがとう。ママ助かるわぁ」
子供みたいな笑顔に癒される。うん、悪くないね。

出来上がった料理を奈々が隣の部屋の食卓へ運んでいったので、台所でサラダとベーコンエッグだけ一人で頂いた。

その後、弁当作成。
下ごしらえは昨晩しているので簡単だ。
4人分はおかずのみ、もう4人分はご飯もつけて、黄身そぼろでひよこの絵を描いた。
以前個別に違う絵にしたら、幼児2人がどちらを取るかで揉めに揉め、大泣きして大変だったらしい。

終わりかけのときに赤ん坊が台所へやってきた。
「今日は俺たちの分もご飯つけてくれるか、ヒバリ。ちょっと遠出してデートなんでな」
「構わないよ、赤ん坊。あなたたちのもひよこでいい?」
赤ん坊はしばらく妙な目つきで僕の描いたひよこを眺めていたが、
「それでいい、頼む」
と呟いた。

「意外と絵が達者だな」
と言われたので
「弁当アートに一時凝ったからね」
と返しておいた。
一層妙な目つきで見られた。

エスプレッソのおかわりをいれてあげると、礼を言われた。
口先だけのお礼はいいから、僕と戦いなよ。
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