小説

□ねこの森には帰れない U
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◆◆◆


目の前には、ザンザスが王様みたいに偉そうに豪華な椅子の上でふんぞり返っていた。
そしてその足元にヒバリさんがうずくまって、ザンザスの膝に頭を乗せてくうくう寝息を立てていたのだ。
しかも着流しの黒い着物姿で!!


「いやあ〜〜〜〜っ!!オレのヒバリさんにナニしてんですかーっ!!」
ザンザスは呆れたような顔でオレのほうを見ると、面倒くさそうに手でヒバリさんの髪を梳いた。
「何もしてねーぞ。勝手にコイツが懐いてきて寝ちまった」

オレは一瞬でヒバリさんの下へ駆け寄ると、べりっと音がする勢いでザンザスから引き離した。
「ヒバリさんっヒバリさん、オレがわかります?しっかりしてください〜〜」
「……………?んうー?」
軽く身体を揺すってみると、ヒバリさんはうっすらと瞳を開けたんだけど、すぐまた閉じるとすりすりとオレの懐に顔を埋めてきた。


―――この仕草は…。まさか、ひょっとして……。


そこへ様子を見に来たスクアーロがひょいと顔を覗かせた。
「なんだー?まだ寝てるのかー?よっぽど疲れてたんかあ?」
「………ちょっと状況説明してくれないかなー?スクアーロ?」
オレはにっこり笑ってスクアーロのほうを向いた。

「ああ?大して話すことも無いけどなー。まあいつものごとくコイツが匣の情報教えろとかなんとかいちゃもんつけてきて、いつものごとく手合わせになって、いつものごとくメシ食ってくかって聞いたら食っていくっていうから、その前に風呂入らせてメシ食わせてデザート振舞ったら、様子がおかしくなって猫みてーにごろごろしたあげくにボスに懐いて寝ちまった。ってとこかなー」
着替えのジャッポーネのキモノはそいつの私物だぞー。というスクアーロの言葉にオレは倒れそうになった。


私物を置いておくほど、ヴァリアーに出入りしてたんですかっヒバリさん!!


まあ戦闘大好きのこの人だから、しょうがないといえばしょうがないんだけど…。


「スクアーロ、この人にお酒飲ませた?」
「いいやあ?コイツ酒は嫌いだっていつも断るからなあ?……ああ、だけど今日のデザートはラム酒をたーっぷりと掛けた大人のアイスクリームを作ったぞ、我ながら渾身の出来だったな。アルコール度数75%の特性ラム酒だぞー。美味しい美味しいって3皿も食ってたぞ」
「それだーっ!!」

デザートに掛かってるお酒で堕ちちゃうとか、アナタどんだけお酒に弱いんですかーっ(泣)
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