小説

□綱さまと御呼びっ!
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※ツナヒバで吸血鬼もの。そんなにエロくはありませんが綱くんが下品で厚顔無恥なのでR18です※




「あのアホはどこにいやがるーっ!!」
バターンと開け放たれた執務室のドアから、10代目専属の家庭教師兼ヒットマンが鬼の形相で飛び込んできた。

獄寺は書類整理の手を止めて、ぱちぱちと瞬きをした。
「アホ…というのは、ランボのことですか?リボーンさん」
「んなわけあるかーっ!なんであの牛さがすのに、執務室に殴りこむ必要があるんだっ!!俺が今絞め殺したいと思ってるのは、今朝俺のところに顔見せる予定をすっぽかしやがったアホツナに決まってるだろーが!!」
リボーンは愛用の銃を取り出すと、獄寺にぴたりと標準を合わせた。こめかみがピキピキ引きつっている。
「あ〜。なんだ10代目のことっすかー。彼なら昨晩から『お食事』に行かれましたよ〜。」
「…なんだと?えらく周期が早くねーか?」
ほけほけした獄寺の答えに、リボーンは僅かに眉をひそめた。
「んー。なんだか妙に喉が渇いて、耐え難いとかなんとか漏らしておられましたよ」
「だからって、何の連絡もなくすっぽかしやがって!とにかく見つけ出して連れ帰ってくるぞ。どの辺に行きやがったんだ、あいつは」
「自家用ジェットで日本っすー。2時間でイタリアと日本の間を飛べる飛行機を開発した甲斐がありましたよね!」
「なんだとーっ!!またアイツは日本に行きやがったのか!!暇さえあれば隙をついてとんぼ返りしやがって!!そんな飛行機開発しやがったのどこのどいつだーっ……って、俺だよ!!俺が発案者だよどうせ!!」
発狂して頭をかきむしるリボーンに、獄寺がおずおずと声をかけた。
「あの〜。10代目は昼までには戻るそうなので、もう少しお待ちになられては?」
「………。わかった。」
リボーンは苦虫を噛み潰したような顔をして、どっかとソファーへ身を沈めた。

「しかし、そんなに『喉が渇く』っていってやがったのか?アイツは。」
「はい。なんだか普段どおりのお食事じゃ乾きがちっとも癒えないらしくて…」
「そうか…。もう、いい加減限界なのかもしれねーなぁ」
ふう、とリボーンは深いため息をついた。
「そうですねー。賢くも勿体無くもボンゴレの10代目ですから、やはり『贄』がいないとお力が維持できないのかも…」
獄寺も心配そうに顔をしかめている。
「そうそう生きのいい極上の『贄』が転がっているわけ、無いしなあ。あいつは日本びいきだからどうしても日本でさがしてーのかもしれんが…」




その時、どたばたと忙しない足音が廊下から響いてきた。それと同時になにやら人が争うような音も聞こえてくる。
「…なんだ?騒々しい。」
うっとおしそうにリボーンが顔をしかめるのと、執務室のドアが勢いよく開かれたのはほぼ同時だった。

「獄寺く〜ん!喜んでっ!!オレ、ついに見つけたよおおおおぉ!」
満面の笑みで部屋に飛び込んできたのは、噂のボンゴレ10代目こと沢田綱吉だった。
下手すれば学生にも見える童顔の彼は、その体つきからは不似合いな程大きな荷物を脇に抱えていた。
毛布のようなもので簀巻きにされたその荷物は、くぐもった音を上げながら不審な動きを繰り返していた。明らかに生き物…というか、人間なのだろう。
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