小説

□花ならつぼみ 〜おしおきしないでっ!の巻〜
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※こちらの小説は頂きものの花ならつぼみ番外編 〜草壁キュン死しちゃう!?の巻〜の続きです※




ひょんなことから天狗の雲雀の不興を買ってしまった天狐のツナは、引きずられるように湯浴み所の入り口へと連れて来られてしまいました。

「ほらさっさと入って服を脱いで。どうしてきみはそうトロくさいんだろうねぇ。」
雲雀にそう急かされても、ツナはぶるぶる震えながら雲雀の腰のあたりにかじり付くばかりでした。
「うっ……。お仕置き、やです〜。怖いこと、しないでください…」
雲雀にされるお仕置きが怖くて湯浴み所には入りたくないツナなのですが、逃げ出すことも出来ずに結局雲雀にくっついて震えることしかできません。
「怖いことねえ…。アレは、怖いことじゃなくて、気持ち良いことのはずなんだけどねえ。この子にはまだまだ刺激が強すぎたのかな。」
ふむ、と考え込むようなそぶりを見せた雲雀は、服をぎゅうっと握り締めて震えているツナをひょいと抱き上げました。
そのまま湯浴み所の脱衣場においてあるベンチに腰掛けて、そっとツナを膝の上に向かい合わせに座らせます。

「つなよしがいい子にしてないから、お仕置きしないとダメになるんだろう?どうしていい子にしてられないの。」
「だ…だって……。」



みるみるうちにツナの大きな瞳にうるうると涙がたまっていきます。
「さっきはヒバリさんに生意気なこといっちゃって、ごめんなさい…。でもでも、ヒバリさんが草壁さんのこと、怒るから…!草壁さん、泣き虫なのにいぢめちゃダメですっ。かわいそうですーっ」

一瞬妙な顔つきをした雲雀は、はぁ…とため息をつきました。
「――草壁のアレは、うれし泣きだから気にしなくていいんだよ。放っておきな。」
「うれしなき?」
きょとん、とツナは首を捻りました。
「あんまりにも嬉しいことが続くから、感激して涙が止まらないんだって。まったく、彼も相当イカレてるよね。」

ツナは不思議そうに首を傾げておりましたが、やがてぱあっと明るい笑顔になりました。
「よくわからないけど、悲しくて泣いてるんじゃなくて、良かったです!」
「うん。だから、きみが気にする必要は無いんだからね。きみが気にするのは、僕のことだけでいい。」
ツナの背中を抱きしめながら、雲雀はちゅっとツナのおでこにキスしました。
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