小説

□その2
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◆SIDE リボーン◆



――面倒くさいことになった。


リボーンは執務室のソファーに座って腕を組んで目を瞑っていた。

かつかつかつ…とゆっくりした靴音が廊下に響いてくる。
やがて足音は執務室の前で止まり、ノックの音が3回響いた。
「…入れ。というか、ここはお前の部屋だろう。ノックは無用だ。」
きしんだ音を立てて扉が開かれた。


――ああ、本当に、面倒くさいことに、なった。



「…リボーン。」
綱吉が静かに口を開いた。
「なんだ。」
「オレ、ちょっと、知りたいことが、いくつか、あるんだけど。」
「そうか。」
ふう、とリボーンはため息をついてソファーの背に凭れた。
「立ち話もなんだ、まあ座れ。」
ぎし、と音を立てて綱吉がリボーンの正面のソファーへ腰を下ろした。

「…ねえリボーン。」
「なんだ。」
「ヒバリさんを保護してくれたの、リボーンなんだよね?」
「そうだ。」
「じゃあ、知ってるよね?」
綱吉は俯いていた顔を上げると、感情の篭らない瞳でリボーンを見つめた。
「どうして、ヒバリさん、の…手足に、拘束された痕があるの?」
「そりゃ。」
リボーンは綱吉を静かに見返した。
「捉まった、からだろ。」

ぎり…と、綱吉の瞳の奥にたけり狂った炎が燃え上がったような気がしたが、すばやく伏せられた顔からは、表情がうかがえなくなった。

「オレが雲雀を見つけたときには、アイツは拘束具を自力で引きちぎって立ってたぞ。真っ白の着物を返り血で真っ赤に染めて。あぁ、とても―――綺麗だったな。」

自分と他人の両方の血で染まる彼は――まるで、そう。手負いの野生の獣のように、美しかった。


「自力で…?」
ふっと綱吉の身体から力が抜けた、ような気がした。


「そうだ。オレが着いたときには、全てが終わってた。」
生存者、無し。目撃者も当然、無し。
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