小説

□『ねこ』じゃないもんっ!
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※大人綱くんと子供雲雀さんのパラレルファンタジー・雲雀さんに耳としっぽがついています※



ボンゴレのお屋敷の朝ごはんは、沢山の人が集まるためにバイキングスタイルになっています。
最近は、天気が良い日は外にテーブルが並べられて、お庭で朝食をとることが多くなってきました。
なぜなら、そういう時になんとも可愛らしいお客さんが現れるからです。


「今日も来るかな?」
ボンゴレの十代目ボス・綱吉は、にこにこしながら周りを見回しました。
「来るんじゃねー?」
これまた機嫌よくパニーニをぱくつきながら、雨の守護者の山本が答えます。
「まぁ、来んじゃないっすかね。アイツ、小生意気なんでいちいち腹がたつんすけどねっ」
ちょっと顔をしかめながら、嵐の守護者の獄寺も答えました。

「きみのほうがムカつくよ。」
獄寺の後ろから、澄んだ可愛らしい声が聞こえました。
テーブルの端から、ぴょこんと黒いお耳が覗いて、その横でゆらゆらと長いしっぽが揺れています。
「あっ、来た!」
綱吉がきらきらと瞳を輝かせながら、手を合わせて喜んでいます。
「今日も尋ねてきてくれたんですねー、嬉しいですっヒバリさんっ。」
「たずねてないよ。おさんぽのついでによっただけだよ。」
「うんうん、ついでなんですよね。ついでなんで、どうぞ食べていってくださいねー。」


黒いお耳としっぽのついたウェアキャット(通称『ねこ』)の子供が、ボンゴレのお屋敷によく遊びに来るようになったのはつい最近のことです。
最初は遠くの木の陰から、こちらの様子をじっと眺めているだけでした。
ボスの綱吉が一目で気に入って、あの手この手でお近づきになろうと奮闘したので、最近では平気で側に寄ってくるようになったのです。


「ここのは何でもおいしいから、食べていってあげてもいいよ。」
「嬉しいです〜。そのままじゃテーブルに届かないから、オレの膝の上に座ってくださいね〜。」
綱吉は子供を抱き上げると、頬ずりしながら膝の上に乗せました。
最初のころは抱っこされるのを嫌がっていた子供でしたが、この頃は随分と慣れたのか、黙ってされるがままになっています。

「おーっ、ツナ、いつもヒバリのこと膝にのっけてていいなー。オレにも抱っこさせてくれなのなー。」
山本がそう言って、子供に手を差し伸べたときです。
それまでおとなしかった子供が、いきなりカプっと山本の手に食いつきました。
「おおっと!」と慌てて山本がぶんぶん手を振って子供を引き離しました。
「ああっ!ひっひばりさんがカプって……! 山本、手、大丈夫!? ヒバリさんっ!人にかみついちゃだめですよー。」
綱吉が優しく諭してみましたが、子供はぷいっと顔を背けてしまいました。

「はははー!大丈夫大丈夫。ヒバリも甘噛みしかしてねーもんなっ。」
山本は気にした風も無く、子供の頭を撫でようとしましたが、子供はそれにも嫌がって身を捩って避けました。
「だめー。ぼくにさわっていいのは、つなよしだけなんだからっ。いいかげんにしないと、咬みころすよっ!」
「ひっひばりさん…!もう…もう…! なんでこんなに可愛いんでしょーっ! ああん、もう、ぎゅーってしちゃいます〜〜!」
その可愛らしい仕草に感激した綱吉は、頬を紅潮させながらぎゅっと子供を抱きしめました。
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